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作者:下総 一二三

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作:下総 一二三

竜に喚ばれた男

 彼は運命に翻弄されながらも、決して屈することはなかった。  わずかな先すら見えぬ暗闇のような未来への道を、確かな足取りで歩み続けた――。  高校生片山竜也は、真伝流居合術を極め、他の武術にも秀でた若者だったが、その実力を発揮する機会がどこにもなく、他の高校生たちと変わらぬ日常を過ごしていた。  ある日、事故に遭いかけた子どもを助けようとするが、自らが身代わりとなって事故に遭ってしまう。しかし、車両と衝突する寸前、謎の力で竜也は異世界へと召喚され、そこには血だらけとなった瀕死の竜がいた。  瀕死の竜――ヴァルタスという名の紅い竜は魔王への復讐のため、大いなる力を竜也に託して消滅する。  その後竜也は、辿り着いた村でセリナ・ラングという娘と出会い結ばれるのだが、住む村を魔王軍に襲われて村は滅ぼされた上に、セリナとも離れ離れとなってしまう。  滅ぼされた村の復讐のため、竜也はリュウヤ・ラングと妻の姓に改める。そして、竜の力と真伝流の剣術を己の武器に、悲しい思いを乗り越え出会いと別れを繰り返しながら、魔王を討つための旅にでるのであった。  しかし、長い闘いの日々の中でリュウヤは“竜の力”を失ってしまい、ただの“人間”へと戻ってしまう。  人の体は脆い上に、その“人”へと戻り、残されたリュウヤの魔力は微弱。  誰もが思った。  ――リュウヤ・ラングは最早、取るに足らぬ存在となった、と。  だが、竜の力を失っても、リュウヤの剣と心は失われていなかった。  仲間に支えられながら研鑽を積み、技の鋭さは更なる鋭さを増していた。  そして、ようやく一緒となれた家族のために、リュウヤは安息の刻を求めて闘い続ける。 “竜に喚ばれた男”の半生。 ※ 最終回以降に書いたものは、番外編として投稿しています。 ・ 第1回HJネット小説大賞1次通過作品

更新:2017/12/31

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